ウェブでコンテンツは売れる? 挑戦するメディア「cakes」がiPhoneアプリをリリース

2012年9月にスタートしたコンテンツ配信メディア「cakes(ケイクス)」。ビジネス、小説、マンガ、エッセイ、写真、食など多様なジャンルを取り扱っています。著名な書き手が多く参加しているのも特徴で、マンガ家の三田紀房 、写真家の青山裕企、作家の大槻ケンヂを始め、ウェブで著名となった山本一郎、May_Roma、finalvent(すべて敬称略)など、多彩な顔ぶれがそろいます。

ネットでコンテンツが売れないのは仕組みやデザインがないから

cakesの面白さは運営方法にも見られます。月額ではなく「週額」150円という価格で、メディア内の全記事が読み放題に(一部は無料コンテンツもあり)。CEOを務める加藤貞顕さんは、ベストセラー書籍『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』を仕掛けた編集者であり、同著を電子書籍で15万部売り上げた人物。実績と経験から、デジタルコンテンツには可能性があると感じたそうです。

TechWaveのインタビューに、加藤さんは「ネットにはプロがド本気で作ったものだけがない。それがない理由は習慣はもとより、課金の仕組みや見せるためのデザインがないからである」と答えています。これまでに読んだ記事の履歴から、読者の好みの話題を優先して表示するようにレイアウトを変えるなど、cakesは先駆的に「仕組みやデザイン」そのものを生み出そうとしているのです。

iPhone版で「ウェブの不十分さ」を解消したい

さて、そのcakesが本日iPhoneアプリをリリースしました。一瞬、見た目はこれまでのスマートフォン版サイトに近い印象を受けますが、あえて単体でのアプリを作った理由はどこにあるのか。前述の加藤さんに伺うと、cakesの「コンテンツ配信の模索」がそこにも現れていました。

加藤:cakesはウェブでプロのコンテンツをディストリビューションすること、マーケティングすること、マネタイズすることの3つにこだわって運営しています。「ウェブで」という点について考えは変わっていませんが、現状ではアプリのほうが便利な面も多いので、開発しました。まだ、ウェブ閲覧の環境は十分とは言えません。UX(ユーザーエクスペリエンス)を考えるとしばらくは並存することになると思います。アプリを含め、より快適にcakesをご利用いただけると幸いです。タブレット版やAndoroid版アプリも開発中なのでご期待ください。

実際に触ってみると、今回のアプリは、cakesのコンテンツを楽しみたい人にとってはさらに便利に、より親しみやすく使える機能性を持っていると感じました。以下に、紹介していきます。